日々のおしっこチェックでペットの体調の変化に早く気づこう!

生態・特徴

こんにちは、獣医師まるです。

みなさんは今まで健康診断で尿検査をしたことはありますか?
小学生の頃に「検尿めんどうだな〜」なんて思ったこと、あるのではないでしょうか。

おしっこの基本知識を知っておくことは、体調管理をする上でとても重要です。

そこで今回は、動物の尿の作られ方についてやさしく解説します!

なぜ「尿のしくみ」を知っておくべきなのか?

私たち動物にとって、尿は体の健康状態を表す大事なサンプルです。

尿の色や量など、ちょっとした変化に気づくことが病気の早期発見につながることもあります。
また、腎臓病や膀胱炎、尿石症など泌尿器の病気を理解するうえで、尿のしくみは基本中の基本です。

それでは、哺乳類の尿がどのようにして作られ、体の外へ出ていくのかを学んでいきましょう!

まずは尿の通り道を知ろう!

尿が作られて体の外に出るまでの通り道のことを「尿路」といいます。

腎臓→尿管→膀胱→尿道 

と、このように繋がっており、これらをまとめて尿路と呼びます。
そして腎臓〜尿管は「上部尿路」、膀胱〜尿道を「下部尿路」と呼びます。

腎臓には血管の入口と出口があり、体を巡っている血液は腎臓を通ることになります。

それぞれの役割は以下の通りです。

  • 腎臓:血液をろ過して尿のもとを作る
  • 尿管:できた尿を膀胱まで運ぶ管
  • 膀胱:尿を一旦ためておくところ
  • 尿道:膀胱から尿を外に出す通路

腎臓の中では何が起きている?

腎臓の中では、尿の通り道と血管が隣り合って走っています。
そして体に必要な物質は血管の中へ、体に不要な物質は尿へ移動させるのです。

尿が作られる仕組みは、次の3つのステップから成り立っています。

① ろ過(糸球体)

腎臓の「糸球体(しきゅうたい)」という構造で、血液が一度こし出されます。
この時点ではまだおしっこの原料である原尿(げんにょう)といい、老廃物や余分な水分が含まれています。

② 再吸収(尿細管)

原尿が通る「尿細管」で、水分やナトリウム、ブドウ糖など体に必要なものは再吸収され、体内に戻されます。

③ 分泌

さらに、尿細管から「いらないもの」が尿の中へ分泌されます。
薬の代謝産物や、pHの調整に関わる物質もここで追加されます。

尿の濃さやpHは、どうやって決まる?

先ほど書いた通り、尿の成分は腎臓はたらきで調節されています。
これによって、尿の濃さやpH、含まれる物質が決まるのです。

飼い主
飼い主

尿検査をした時、結果の紙に「比重」とか「pH」とか書かれていたけど、あれは何を調べるものなんだろう?

比重は尿の濃さ、pHは尿が酸性とアルカリ性のどちらに傾いているかを知る数値です。

たとえば…

  • 水を多く飲んだとき → 不要な水分が尿の中へ → 薄くて量が多い尿
  • 脱水気味のとき → 必要な水分が再吸収される → 濃くて量が少ない尿
  • 食事内容や体調によって → 尿のpHが変わる

腎臓がきちんと尿を濃くできているかどうかは、尿の濃さ(尿比重)を調べることでわかります。

また、尿のpHが正常値から外れ、酸性やアルカリ性に偏っていると、尿結石ができやすくなることも。

このpHは食事内容に大きく左右されるため、今のフードが体質に合っているかを見極める手がかりにもなります。

膀胱は尿をためる場所

膀胱は、尿を一時的にためるバケツやタンクのようなもの。
ある程度たまったら、尿道を通じて排出されます。

バイ菌が入れば膀胱炎になりますし、体質によっては石ができてしまうこともあります。

もし膀胱が何らかの原因で詰まってしまい尿が出せなくなると、命に関わります。

尿の異変に気づくためにチェックするポイント

健康管理をする上で、尿の異常に早く気づくことが大切だとわかりました。

ところが尿の異常にいち早く気づけるのは、獣医師ではなく普段お世話をしている飼い主さんなのです。

飼い主
飼い主

うちの子のおしっこの変化に気づけるかちょっと不安だな。どんなことに注意して見ればいいんだろう?

具体的に何を確認すべきなのか、リストアップしてみます。

日々のおしっこチェックリスト

✔︎色(濃い、薄い、血が混じっている)
✔︎量
✔︎回数
✔︎頻度
✔︎におい
✔︎排尿姿勢
✔︎排尿時間
✔︎漏らしていないか
✔︎いつもと違う場所にしていないか

これらの様子が「いつもに比べて」変わったと思ったら、それは病気の初期サインかもしれません。

まとめ

腎臓は、体にとって必要なものと不要なものをうまく調整して尿を作っています。
尿ができる仕組みを知っておくだけで、日常の何気ない変化が病気の早期発見につながる可能性があります!

動物たちの健康を守る第一歩として、ぜひ覚えておきましょう!

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