こんにちは、獣医師のまるです。
犬を飼いたいと思ったとき、まず気になるのが「どのサイズの子が自分に合っているんだろう?」ということではないでしょうか。

大型犬を飼ってみたいけど、お世話できるかな?

小型犬か中型犬かで迷ってるけど、どうやって決めたらいいの?
そんなふうに悩んでいる方も多いと思います。
小型犬・中型犬・大型犬、それぞれに魅力があり、それぞれに気をつけたいポイントもあります。
それぞれのメリット・デメリットを全て書ききれないので、今回は獣医師の視点から、犬のサイズごとのメリット・デメリットをお話しします。
これから犬を迎えようとしている方も、今いる愛犬の今後の通院について考えたい方も、ぜひ参考にしてみてくださいね。
※ご紹介する内容は私個人の見解です。体のサイズだけで全ての特徴が決まるわけではなく、ワンちゃんには一頭一頭違った性格や個性があります。あくまで参考のひとつとしてご覧ください。
小型犬のメリット・デメリット(獣医師視点)

◎ メリット
- 小さいので移動が簡単
小型のキャリーに入れたり、抱っこで通院が可能。車への乗り降りも楽です。 - 薬代が安く済む
薬は体重に応じて処方されることが多く、軽い小型犬は薬の量も少なく、費用も比較的お手頃です。 - 介護がしやすい
もし寝たきりになったときも、抱っこでの移動や介助がしやすく、飼い主さんの負担も少なめです。
△ デメリット
- 骨が細く、骨折に注意
ちょっとした段差からのジャンプでも骨折することがあります。ソファの昇り降りにも注意が必要です。 - 処置の難易度が上がることも
体が小さいぶん、手術や採血などの処置では細かい技術が求められます。 - 誤飲・誤食に注意
小さな異物でも詰まりやすく、チョコやタマネギなどの毒物も少量で重症化するリスクがあります。 - 処置のストレスが大きくなりがち
体が小さいぶん、注射や採血の際のストレスや負担が大きくなることも。 - 偏食傾向?
食が細い子が多く、薬を飲ませるのに苦労するケースもあります。
中型犬のメリット・デメリット(獣医師視点)

◎ メリット
- 体格がしっかりしている
丈夫で活発な子が多いです。小型犬に比べて骨や関節も頑丈です。 - 通院しやすいサイズ感
しつけが入っていれば、徒歩・車・キャリーなど移動手段の選択肢が多く、診察台の上への抱っこも可能な重さです。 - 投薬がスムーズ
薬のサイズや量がちょうど良く、投薬ストレスが少ない傾向があります。
△ デメリット
- 力が強く、保定が大変なことも
診察を嫌がると押さえるのがやっと。しつけや病院慣れが大事です。 - 薬代は小型犬よりやや高め
体重に比例して薬の量も増えるため、費用も少し上がります。
大型犬のメリット・デメリット(獣医師視点)

◎ メリット
- 安定感のある体つき
骨格や筋肉がしっかりしていて、運動や外部刺激に強い体を持つ子が多いです。 - しつけが入りやすい傾向も
個体差はありますが、落ち着いた性格の子が多く、飼い主の指示をよく聞いてくれることも。
△ デメリット
- 治療費が高額になりやすい
薬や医療資材の量が多くなり、手術費や検査費も高くなりがちです。 - 検査や処置に体力が必要
診察台への抱き上げや保定に力が要ります。レントゲンやエコーの範囲も広く、時間や費用がかかる場合も。 - 介護が大変
寝たきりになったときの排泄・移動介助にはかなりの体力が必要です。スロープやハーネスなどの準備も必要になります。通院が必要な場合の移動手段も検討しましょう。
犬のサイズと寿命の関係
犬はその大きさよって平均寿命に違いがあります。
- 小型犬:10〜15歳以上と比較的長寿。20歳近くまで元気な子もいます。
- 中型犬:平均12〜14歳ほど。
- 大型犬:体への負担が大きいため、平均8〜12歳とやや短め。
これから犬を迎える方は、ご自身の将来のライフスタイルと、犬の高齢期・介護期がいつ来るのかをあらかじめ考えておくことが大切です。
まとめ
今回は、獣医師の視点から小型犬・中型犬・大型犬のメリットとデメリットをお話ししました。
サイズによって通院や医療、日常のお世話にも違いがあることは、実際に飼ってみないと気づきにくい部分かもしれません。
ですが、犬を迎えるときの判断基準は「サイズ」だけではありません。
その子の性格や飼い主さんとの相性、犬種ごとの特徴、住環境とのバランスなど、多くの視点から考えることが大切です。
「知らなかった…」と後悔しないように、しっかり情報を集めて、自分に合った犬との暮らしを選んでくださいね。
また、動物病院や獣医師によって考え方に違いがある場合もあります。
ぜひ信頼できる獣医師に相談しながら、あなたとワンちゃんにとっていちばん良い暮らしを一緒に見つけていきましょう!
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