こんにちは、獣医師まるです。
愛犬や愛猫を動物病院に連れて行ったときに、お薬が処方されたことはありますか?
動物にも人間と同じように様々な種類のお薬があります。

うちの子に出された薬、どんな仕組みで効くのかな?

動物のお薬の量はどうやって決めるんだろう?
今回の記事では、そんな素朴な疑問にお答えします。
お薬の基本を正しく理解することで、愛犬・愛猫の健康管理にさらに自信を持てるようにしましょう!
1. 犬猫のお薬はどうやって効くの?
お薬には、さまざまな仕組みで体に働きかけるものがあります。
たとえば、
- 各臓器に作用して症状を和らげる薬
例:心臓病の薬、腎臓病の薬、肝臓を助ける薬、気管支拡張剤など - 細菌やウイルス、寄生虫に直接作用する薬
例:抗生剤、抗ウイルス薬、駆虫薬 - 体をサポートして自然回復を助ける薬
例:整腸剤、栄養剤、サプリメントなどサプリメントは厳密には薬ではないですが、お薬として処方されることがあるかもしれません。
2. ワクチンとお薬は何が違うの?
ここで、よくある疑問を一つ。
「ワクチンも薬の仲間なの?」と思ったことはありませんか?
ワクチンとお薬は、役割がまったく違います。
- お薬 → 今すでに起きている症状に対して、治療を目的として使う
- ワクチン → 今後起こるかもしれない病気を予防するために使う
ワクチンは、特定の病気に対して免疫力を高めるためのものです。
接種後、体がその病気に備える「防御の準備」を整えてくれます。
このように、「治療」と「予防」でしっかりと役割が分かれているんですね。

また、使い方にも違いがあります。
- 犬猫のワクチンは、基本的に注射で接種します。
- お薬は、飲み薬、塗り薬、注射薬などさまざまな投与方法があります。
共通点として、ワクチンもお薬も副作用がまったくゼロではありません。
体質によってアレルギー反応や副反応が起きることがあります。リスクよりも得られるメリットの方が大きい場合に使用します。
ワクチンについてはこちらの記事をご覧ください → 犬のワクチンって必要?
『ワクチンってそもそも何なの?』のトピックで説明しています。
3. お薬の投与方法にはどんな違いがあるの?
お薬は、「どこから体に取り入れるか」によって使い方も変わります。
代表的な方法を見てみましょう。
- 経口投与(飲み薬)→ 錠剤、粉薬、カプセル、シロップなどがあります。
- 皮下注射→ 皮膚の下に注射。ワクチン接種や抗生剤、痛み止めなどで使います。
- 筋肉内注射→ 筋肉に直接注射。犬猫では早く効果を出したい薬や、麻酔をかけるときなどに使います。
- 静脈内注射→ 血管に直接投与。すぐに薬を効かせたいときや、重症時、誤食した際に吐かせる時などに使います。
- 経皮投与→ 皮膚から薬を吸収させる方法。ノミ・マダニ予防薬(スポットタイプ)が代表例です。
- 粘膜投与→ 粘膜に薬をつける方法。坐薬や、薬を霧状にして吸入させるネブライザーもこれにあたります。
それぞれ、効果が出る速さや使いやすさが異なります。
犬猫の状態や薬の種類によって、最適な投与方法が選ばれます。

4. お薬の量はどうやって決まるの?
犬や猫のお薬の投与量は、基本的には体重に合わせて計算します。
たとえば、薬の説明書に「体重1kgあたり5mgを投与」と書かれていた場合、体重10kgの犬には50mgを与えることになります。
少なすぎると十分な効果が出ず、多すぎると体にとって毒になってしまうため、適量がとても大切です。
また、年齢や症状の程度、健康状態などによって量を微調整することもあります。

いろんなことを考慮してお薬の量を決めています。自己判断で量を変えることはしないでくださいね!
5. お薬の効果はどのくらい続くの?
薬が体にとどまっている間は効果を発揮しますが、やがて体に分解され、排泄されることで効果がなくなっていきます。
具体的には、
- 肝臓で代謝される(薬が別の物質に変えられる)
- 腎臓を通じて尿として排出
- 便に混じって排出
このため、薬は一定の間隔で与えることが大切です。
自己判断で投与を中断したり、間隔をあけすぎたりすると、十分な効果が得られなかったり、逆に副作用が出やすくなることもあります。
まとめ
犬や猫のお薬には、それぞれに大切な役割と使い方があります。
これらを知っておくことで、動物たちの健康をよりしっかりサポートすることができます。
不安なときは、ぜひかかりつけの獣医師に相談してくださいね。
一緒に、大切な家族を守っていきましょう!
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