寄生虫・真菌・細菌・ウイルス、何が違うの?犬猫に関わる微生物の違いを獣医がやさしく解説!

微生物の違いについて悩んでいる飼い主 感染症

こんにちは、獣医師まるです。
ワンちゃんや猫ちゃんの病気の原因になることが多い、「寄生虫」「真菌」「細菌」「ウイルス」。

飼い主A
飼い主A

菌とかウイルスとか、よく聞くけど違いがよくわからないなぁ。

飼い主B
飼い主B

寄生虫とか、室内飼いのうちの子には関係ないよな。

という方も多いはず。

今回はそんな方のために、寄生虫、真菌、細菌、ウイルスの違いを比較しながらやさしく解説します!

ざっくり比較!寄生虫・真菌・細菌・ウイルスの違い

犬猫の病気によく関わってくる寄生虫、真菌、細菌、ウイルス。
これらはまとめて「微生物」と呼ばれます。

それぞれのざっくりとした特徴を表にまとめてみました。

特に大きさと増え方に違いがあるのがわかります。

これだけではまだイメージがつかみにくいかと思うので、ここからそれぞれの特徴について詳しくみていきましょう!

寄生虫ってどんなもの?

寄生虫は他の動物の体に住みつき、血や体液を吸うことで栄養を奪って生きています。
寄生虫のほとんどが卵で増えます。
そして大きく2種類に分けられます。

  • 外部寄生虫:皮膚のような体の外側に住みつくもの
  • 内部寄生虫:おなかの中など、体の内側に住みつくもの。

皮膚にくっついて目に見えるものもいれば、体の内部に寄生して普段は目にしないものもいます。

寄生虫のいちばん厄介な点は、寄生虫やその卵は自然界のあらゆる所に存在しているということです。
例えば土の中、水の中、道端の草、他の動物の糞の中、野生動物や虫の体の中など、どこにでもいます。

飼い主
飼い主

寄生虫って、こんなにどこにでもいるの!?避けられないじゃん!

そう!避けられないのです。
なので予防薬を使ったり、体を清潔に保ってあげたり、拾い食いはしないように飼い主さんが気をつけてあげる必要があります。

犬猫の主な寄生虫

  • ノミやマダニ:皮膚に住みついて痒みを引き起こします。他の病気を媒介します。
  • フィラリア:犬の心臓に寄生してしまう怖い寄生虫です。
  • 回中、条虫:おなかに住みつくと消化器症状を引き起こします。

寄生虫には、有効な予防薬や駆虫薬(虫下し)があります。
予防を心がけ、もし寄生された場合は重症化する前に適切な対処を取りましょう。

真菌ってどんなもの?

真菌は「カビ」や「酵母」の仲間です。
寄生虫より小さく、目には見えませんが、顕微鏡があれば見えます。

酵母の一種である「マラセチア」は湿気のある場所を好み、犬や猫の耳でよく見つかります。
痒みを伴うことが多いので、もしもワンちゃんや猫ちゃんが痒がっていたら真菌症の可能性があります。

犬猫の主な真菌症

  • マラセチア性皮膚炎:痒みを伴い、外耳炎を引き起こします。
  • 皮膚糸状菌症:痒みを伴い、皮膚炎を起こします。人にもうつります。

真菌症には抗真菌薬や抗真菌シャンプーが効果的です。

もし愛犬や愛猫が真菌症にかかっていたら、患部に触れた後はしっかり手を洗いましょう。

細菌ってどんなもの?

細菌は顕微鏡で見えるくらいの小さな生き物です。
これらも自然界のあらゆる所に存在します

私たちや動物の体の中、体の表面、水の中、土の中、食べ物にも付いていたりします。

細菌は病気を引き起こす悪いものもいれば、体にとって良い効果をもたらしてくれる大事なものもいます。
また、普段は悪さをしなくても、増えすぎたり、免疫が低下している時にだけ悪さをするものもいます。

悪さをする細菌が増えると、膿んだり、赤くなったり、臭いが出たりすることがあります。

そして細菌は自分に適した環境が整うと、自分の力でどんどん分裂して増えていきます。

犬猫の主な細菌の病気

  • 膿皮症(皮膚の炎症)
  • 外耳炎
  • 膀胱炎
  • 歯周病
  • 外傷からの膿

細菌感染による病気の治療には抗生物質(抗生剤)を使います。
しかし、近年では薬が効かない「耐性菌」も増えてきており、獣医療で深刻な問題になっています。
抗生剤が処方された場合には自己判断でむやみに使わず、獣医師の判断に従うことが大切です。

ウイルスってどんなもの?

ウイルスは細菌よりもずっと小さく、自分では増えることができません。
「生きた細胞」に入りこんで増えるため、治すのが難しいことがあります。

ウイルスの中には動物から人へ感染するものもあれば、感染しないものもあります。

犬猫の主なウイルスの病気

  • 狂犬病
  • 犬パルボウイルス感染症
  • 犬ジステンパー
  • 猫ウイルス性鼻気管炎
  • 猫カリシウイルス感染症
  • 猫白血病ウイルス感染症(FeLV)
  • 猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ、FIV)

この中でいちばん聞き馴染みがあるのは狂犬病でしょうか。
これは犬から人にも感染し、発症すれば致死率はほぼ100%と言われています。

多くのウイルス性疾患は、ワクチンで予防ができます

細菌には抗生剤が効きますが、ウイルスに直接効く薬は少ないです。
つまり、ウイルスに感染する前に予防することがとても重要です。

まとめ

寄生虫、真菌、細菌、ウイルスのイメージ

寄生虫、真菌、細菌、ウイルスの違いについてイメージはつきましたか?

これらの違いを知っておくことで、動物病院での検査方法や治療法、予防法に対する疑問が少しでもなくなると良いですね。

そして、どんな感染症も予防が肝心です。
感染症の中には動物から人にうつってしまうものもあります。
ペットのためだけでなく、私たちの健康を守るためにも、日頃から適切な予防を心がけましょう!

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